スタッフブログ

このページは、「2026年度ブログ」のページです。
埼玉県立歴史と民俗の博物館のスタッフが、博物館のイベントや大宮公園の様子、日々の業務から感じたことなどを皆様にお伝えしていきます。各スタッフが自分の言葉で語りますので、ややつたない表現になることもあるかもしれませんが、大目に見ていただければ幸いです。

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2026年度ブログ(4)
  「埼玉の宝物」展に寄せて②
~テンちゃん・ウサちゃん・オニちゃんの展覧会見学物語~

 

展覧会が終わっても博物館はまだまだバタバタしています。

資料の撤収や返却作業で、展覧会担当者は引き続き大忙しです。

 

今回の展覧会を担当した小松学芸員は、初めての展覧会担当で、しかも指定文化財展という大仕事。毎日てんやわんやしながらも、最後まで本当に頑張ってくれました。

次回のブログでは、本人が展覧会を振り返って感想を書いてくれると思いますが、ちょっとだけお時間をいただければと思います。

 

というわけで今回は、当館のキャラクター「てんぐまい三人衆」(テンちゃん・ウサちゃん・オニちゃん)に展覧会の見学記を書いてもらいました。ゆるっと楽しんでください。

 

令和8年5月15日 特別展示・広報担当 N

 

てんぐまい三人衆とは?

右「れきみんキャラクター紹介」のページ

 

~テンちゃん・ウサちゃん・オニちゃんの展覧会見学物語~

「最終日に駆け込んだオニ!展覧会、楽しかったオニ!でもひとつだけ、よくわからなかったオニ。“文化”と“文化財“って、違うものオニか?」
   
「オニちゃん、そこ大事なところだよ、図録、ちゃんと読んでないね」
   
「オニちゃん、展示に夢中で図録買いそびれちゃったピョン…」
   
「図録には大事なことがしっかり書いてあるんだよ。ほら、開いてみよう。通信販売もしているから、あとで買って読んでみてね」
   

「まず“文化”とは、人々が社会の中で生み出し、育ててきたすべてのもののことなんだ。そして“文化財”は図録で引用されている「埼玉県文化財保存活用大綱」にこう書かれてるよ」

 <文化財は、様々な時代背景の中で地域の人々の生活や風土とのかかわりにおいて生み出され、現在まで守り伝えられてきた人々の共有の財産である。>

   
「じゃあさ、じゃあさ、人が作り出すものは全部“文化”ってことオニ?」
   
「正解!!人々が暮らしの中で生み出したもの、考え方、技術、行事、歌……そうしたもの全部が“文化”なんだよ。 そして、その広い“文化の海”の中から、とくに価値があるとみんなで認め、守っていこうと決めたもの。それが“文化の財産”、つまり文化財なんだ」
   
「じゃあ、ウサちゃんが「これ文化財!」って言ったら文化財になるピョン?」
   
「するどい!!実は、半分正解なんだ。誰かが“これは残すべき”と価値づけをした瞬間、それは文化の“財”、つまり文化財になるんだよ。でも展覧会で紹介されていたのは、それとは違って、国や県などが行政的に守るべきものとして指定した文化財なんだ」
   
「どうやって選んでるオニ?」
   
「国や県・市町村が、建造物、美術工芸品、民俗文化財など6つの種類ごとに、専門家の調査研究を経て、それぞれの自治体の基準で指定するんだよ。また、修理や調査によって新しい事実がわかり、価値が再確認されると、文化財に指定されることもあるんだ。たとえば、歓喜院聖天堂は、平成の大修理で多くのことが明らかになって、その価値が改めて認められ、それまでの重要文化財から国宝に指定されたんだ」
   
「それにしてもすごいピョン!ウサちゃんたちも評価されて県指定文化になったピョンね」
   
「そうだね。みんなが大切に守り伝えながら評価してくれた結果なんだ。そして、これからもっと調査・研究が進んだら……もしかしたら、いつかは“テンちゃん・ウサちゃん・オニちゃん”も国の文化財になる日が来るかもしれないね。ふふふ・・・」
   
「オニちゃんたちが国の文化財……!なんだかワクワクするオニ!」
   
「文化は広い海って言ってたから、これから文化財の種類がもっと広がって、新しい文化財が生まれることもあるピョンね」
   
「そうだね。未来にどんな文化財が生まれるか誰にもわからないんだ。みんなが文化を大切に守り伝えてきたからこそ、今の文化財があるんだ」
   
「でも文化財って、博物館の収蔵庫や、展示ケースの中に入っていて、オニちゃんたちからは遠い存在オニ。文化財は、博物館や学芸員さんのものオニか?」
   
「違うよ。文化がみんなで生み出し、受け継いできたものなら、文化財もみんなのもの。だから、博物館や学芸員さんだけじゃなくて、地域の人たちが大切に思い、伝えていくことで守られていくんだ。今日の展示解説でも小松学芸員さんが、言っていたのを忘れたの?」
   
「昔の人たちが大切にしてきたから今の文化財があって、ウサちゃんたちが大切にすることで、未来の誰かに受け継がれていくピョンね」

 

まさに「人々が守り伝えた文化財」だってことだね!!


歴史と民俗の博物館 テンちゃん・ウサちゃん・オニちゃん

2026年度ブログ(3)
  「埼玉の宝物」展に寄せて①~稲生家資料と稲生家文書の邂逅~

 

 5月6日をもちまして、「埼玉の宝物」展は無事に閉幕いたしました。ご来場くださった皆さまに、心より御礼申し上げます。

 少し時間が経ってしまいましたが、展覧会では紹介しきれなかった資料について、ご紹介していきたいと思います。

 本展覧会で紹介した、「稲生家文書」と「稲生家資料」は、現在は所有者が異なるため、「稲生家文書」(古文書)と「稲生家資料」(歴史資料)の2つに分けて文化財指定がされています。しかし、もともとは江戸時代以来、いずれも稲生家の小石川旧邸に所蔵されてきたものです。その後、資料は第二次世界大戦の際に、旧知行所であった入間郡多和目村の菩提寺・正信庵(現在は廃寺)へ移され、今日まで伝来しました。

 江戸時代の旗本は小規模な家が多く、関連資料の現存は一般に乏しいと言われています。そのなかで稲生家には、古文書のみならず実物資料(モノ資料)が残されている点が特筆されます。文書と実物資料が相互に裏づけ合うことで資料価値を高めており、この点が文化財指定の際にも高く評価されました。この点は本展でも、実際の旗指物とその旗について記された古文書を展示、紹介しました。

 実は今回展示した稲生家の刀装具も、古文書と合わせ見ると新たな発見があります。稲生家文書の中には、稲生家が所蔵した刀剣の一覧があり、この中に鍔や目貫、縁に関する記載が確認できます。

 

 

 

◆鍔(つば) 古文書の記載内容

「大小 赤銅高浪彫金水玉入(大森英秀)」

〇金の水玉の意匠や大森英秀作であることが実物と合致しています!!

 

◆縁(ふち) 古文書の記載内容

「大小 半分金半分赤銅七々子そき沢流ニオタマジャクシ彫(吉岡孝次)」

 〇黒い点はナント!!おたまじゃくし(蛙子)です。

 

◆目貫(めぬき) 古文書の記載内容載

「小 金無垢一疋獅子彫(時信)(目方二匁七分余)

〇目貫の重さは約10グラムです!!

 

 また古文書から、この刀装具が「波涛」(はとう)と称された黒柄の大小(刀・脇差)に付属していた一揃いの刀装具であることが、そして刀身は(大)「二尺二寸九分 出雲浪貞作 目釘二ツ(文政六年未ノ折紙アリ)」、(小)「一尺四寸七分 備前長船祐定」であることが分かります。本刀剣を稲生家では「波涛」と称していることや、蛙子(かわずこ=おたまじゃくし)や高浪を意匠とする鍔が付属していることから、互の目や丁子乱れ系の刃文だった可能性も考えられます。

 現在、これら刀装具に対応する刀身は失われていますが、古文書を紐解くと、このようにかつての姿に思いを馳せることができます。小さなことですが、これも文化財指定や本展覧会を通して新たに明らかになった事実の一つです。

 文化財指定は、指定や展覧会での紹介をもって終わりではありません。保存・活用はもちろん、継続的な調査・研究によって新たな事実を掘り起こし、その価値をさらに高めていくことが求められます。それこそが、文化財を守り伝えていくため、わたしたち学芸員に課せられた使命の一つといえるのではないでしょうか。

 

令和8年5月13日 特別展示・広報担当 6年ぶり投稿のN

2026年度ブログ(2)
  今年も開催!おかめ・ひょっとこを踊りたい方、集まれ~!

 

民俗芸能講習会の開催を楽しみにしているみなさま、お待たせいたしました!

令和8年民俗芸能講習会「江戸里神楽 おかめ・ひょっとこの舞」を開催しますキラキラ

岡田民五郎社中を講師に迎え、全4回の講習を通して江戸里神楽のおかめの舞・ひょっとこの舞を学びます。

 

神楽とは神社祭礼などに奉納される芸能のことです。

江戸里神楽師は、神社祭礼での神楽の奉納の他にも、祭り囃子の演奏や正月の門付け(獅子舞)を行うなど、多岐にわたって活動してきました。

講習会で学ぶおかめ・ひょっとこの舞は、ユーモアな踊りとして知られています。

 

さて、「応募したいけれど、わたしには難しいかもしれない…」と、

悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。

 

講習会担当として過去数回ほど練習を見守ってきましたが、

正直なところ、おかめもひょっとこも初心者の方にとっては難しい踊りだと思います。

 

ただ、この講習会はプロのように踊ることが目標ではありません。

全4回楽しむ気持ちさえあれば、初心者・経験者、老若男女問わず、どなたでも大歓迎です!

個人的には、ひょっとこのおっちょこちょいな踊りが楽しくて踊りたくなります。

おかめさんもおしとやかな扇子の舞が素敵です。

 

講師のみなさまもとても丁寧に教えてくださいます。

「いち・に・さーんのし… 手車返し・手車返し……」

講習会期間中はついつい思い出すこのフレーズ。

思い出したら今年の講習会も楽しみになってきました。

 

画像:過去の講習会の様子1   画像:過去の講習会の様子2
【過去の講習会の様子】

 

【最終日は公開発表会を開催予定】 

 

 

ぜひこの機会に伝統的な江戸里神楽を学び、踊ってみませんか?

みなさまのご参加をお待ちしております~!

 

令和8年4月17日 木彫りのこぐま

 

*民俗芸能講習会「江戸里神楽 おかめ・ひょっとこの舞」*

 日程:6月14日・21日・28日、7月5日(すべて日曜日)

 時間:各回13:00~16:00

 定員:30名

 費用:1,000円(教材費込・初日支払い)

 対象:どなたでも(全4回を通して受講可能な方)

 場所:歴史と民俗の博物館 吾妻工業講堂(当館講堂の愛称)

 

≪申込み方法≫ 電子申請又は往復はがき

●電子申請の場合 5月13日(水) 23:59締切

 申込みはこちら(https://apply.e-tumo.jp/pref-saitama-u/offer/offerList_detail?tempSeq=115233 )

●往復はがきの場合 5月13日(水)必着

 ①住所②氏名・ふりがな③年齢④電話番号を明記し、以下のあて先にお申込みください。

 ※1通(1申請)につき1名まで有効。応募多数の場合は締切後、抽選を行います。

 

 〒330-0803

 さいたま市大宮区高鼻町4-219

 埼玉県立歴史と民俗の博物館 特別展示・広報担当 民俗芸能講習会係

 

 

2026年度ブログ(1)
  開催中!
特別展「埼玉の宝物~人々が守り伝えた文化財~」

 

令和8年5月6日(水・振休)まで開催している特別展「埼玉の宝物~人々が守り伝えた文化財~」を紹介しますキラキラ

 

まずは今回の展覧会について紹介する前に当館について少しお話する必要があります。

 

当館実は...平成18年に県立博物館と岩槻にあった県立民俗文化センターが統合して、4月で20周年を迎えましたお祝い

このことを記念して、県内にある国・県指定の文化財を集めた展覧会を開催しました。

 

ちなみに、県立博物館時代には複数回、指定文化財展を行っていますが、歴史と民俗の博物館として、各専門を横断する指定文化財展は初めてになります。また、今回対象としているのは過去の指定文化財展以降に指定されたものということで、平成11年度以降に指定されたものが展示されています。

 

展示の対象となっている指定文化財には様々なかたちがあります。
例えば、仏像や古文書、土器など形のある文化財は、有形文化財
歌舞伎や陶器の制作技術など形として存在しないものを無形文化財と呼びます。
その他にも私たちの生活の推移を知るものとして民俗文化財があり、これも仕事道具や農具など形のあるものを有形民俗文化財
祭礼や民俗工芸の技術など形として存在しないものを無形民俗文化財と呼んでいます。
また、史跡や天然記念物など自然の中に存在しているものを記念物としています。

 

前置きはこのくらいにして、まず指定文化財展ならではの話をしていきます。

 

展示室の入口にいくと「特別展 埼玉の宝物」と書かれた幕が登場します。

 

そこから奥の方をみてみるとなにやら大きい仏像が...
画像:特別展示室入口

 

仏像の正体は越生町の「五大尊」で知られる「木造五大明王像」(県指定有形文化財・彫刻)です。
五大明王は怒りのパワーでひねくれ者を力ずくで導く明王になります。そのため、どれも目力が強かったり、武器なども持っていて圧倒されます。

画像:木造五大明王像

 

 その反対には大きい人物埴輪4体が対面しています。
画像:埼玉県生出塚埴輪窯跡出土品

この人物埴輪は鴻巣市の「埼玉県生出塚埴輪窯跡出土品」(重要文化財・考古資料)です。千葉や神奈川など関東各地に送られていた埴輪の製作所から出土したものです。

 

4体中3体は貴人(=偉い人)を表しています。

平安時代に制作された仏像と古墳時代の埴輪が対面しているのも普段の展覧会では見られない、様々な分野の資料が出ている文化財展ならではの光景です。

 

ここでちょっとした展示作業の話を。

展示室に展示されているこの船は、「江戸川の船大工用具と漁船」(県指定有形民俗文化財)という春日部市で船大工をしていた家の資料で、実際に使われていた船だそうです。
画像:江戸川の船大工用具と漁船

 

全長6mを超える船で、当館に収蔵されていたのですが、大きいため資料用のエレベーターでは運べず、大人数で館内を大移動させてここまで持ってきました。
画像:船の館内移動の様子その日はさすがに全員ヘトヘトになりました汗・焦る

 

このほかにも明治時代以降の埼玉県の様子を伝える「埼玉県行政文書」(重要文化財・歴史資料)や旗本の生活を知る資料「稲生家文書」「稲生家資料」(県指定有形文化財・古文書/歴史資料)、かわいらしい土偶が印象的な「埼玉県後谷遺跡出土品」(重要文化財・考古資料)、武家の願いが込められた「絹本著色阿弥陀聖衆来迎図」(重要文化財・絵画)、川越氷川神社の神幸祭の付け祭として行われる山車行事「川越氷川祭の山車行事」(重要無形民俗文化財)など全30件343点の資料を展示しています。

 
【埼玉県行政文書】   【稲生家資料】

 

 
【埼玉県後谷遺跡出土品(ミミズク土偶)】   【絹本著色阿弥陀聖衆来迎図】

 

【川越氷川祭の山車行事(展示風景)】

 

 

埼玉県内の様々な分野の国・県指定の文化財を展示しましたので、埼玉県の知られざる一面を発見できるかもしれません。

ちなみに図録も平成11年度以降に指定された文化財を写真入りで一覧にしているので、もしかしたらみなさんの地元の文化財も載っているかも?

 

また、館内では「れきみんを巡ろう!宝探しラリー!」も実施しています鉛筆

特別展の他に常設展示、ゆめ・体験ひろばに隠されたキーワードを探して合言葉を作ると景品をさしあげています。

ぜひ参加してみてください。

 

この機会に埼玉の魅力を再発見してみませんか?

 

令和8年4月16日 埼玉案内人

 

【展示情報】

特別展「埼玉の宝物~人々が守り伝えた文化財~」

会期:令和8年3月14日(土)~5月6日(水・振休)

時間:9:00~16:30(観覧受付は16:00まで)

グッズ:図録1600円、てんぐまい三人衆ハンドタオル400円