第20問の答え
【正解】 形や文様、出土した状況から推定する

 

土器をはじめとした考古資料(遺物)は、多くの場合地中に埋まった状態で発見されます。
地面には長年のうちに土が次々に堆積し、地層が形成されていきます。そのため、同じ場所に積もった一連の地層では、深いところにある層より、浅いところの層の方が新しい時代に積もったものと原則的には考えられます。

これを、専門的な用語で「地層累重(ちそうるいじゅう)の法則」と言います。

いったん地中に埋まった遺物は、後世に人が掘り返したりして大きく移動していなければ、「地層累重の法則」を利用して、それぞれが出土した層の上下関係から遺物の新旧関係を考えることができます。

図1 地層の断面図と各層から出土した石器
(麻生優1985「4層位論」『岩波講座日本考古学1』掲載の図を一部改変)

 

また、土器などの形や文様は徐々に変化していくものと考え、この変化の順序を推定することも方法の1つです。

図2 鏡に描かれた白虎像の変遷
(横山浩一1985「3層位論」『岩波講座日本考古学1』掲載の図をもとに作成)

aは中国鏡に描かれた白虎で、bからgは日本列島内で作られた鏡に描かれた白虎です。
元々の図像の意味を正しく理解しないまま模倣していった結果、極端な簡略化が進んだと考えられます。

 

ある遺跡から見つかった遺物について、上の2つの方法を組み合わせて新旧を推定し、その成果を別の遺跡や地域と比較していくことで、確実性を高めていくことができます。
土器に限らず、考古資料の新旧関係は、このような方法を長年積み重ねながら詳細に明らかにされてきました。こうした作業を「編年」と呼びます。
ただし、以上の方法で明らかにできるのは「AよりBの方が古い」といったような相対的な新旧関係であり、特に文字のない時代では、具体的な年代を知る手段は限られています。

近年では、「放射性炭素年代測定法」など、測定器を使って今から何年くらい前のものかを求める理化学的な方法が普及しています。
しかし、土器の場合では資料そのもの(土)を測定することはできず、表面に付着した焦げなどの炭化物を測定し、土器の年代とみなしています。
また、発掘調査で見つかった全ての土器を測定しているわけではありません。

伝統的な方法と理化学的な方法、それぞれの長所と短所を補い合いながら、さらなる精緻化を目指して現在も編年研究が進められています。

 

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