このページは、「2023年度ブログ(再開館後)」のページです。
 埼玉県立歴史と民俗の博物館のスタッフが、博物館のイベントや大宮公園の様子、日々の業務から感じたことなどを皆様にお伝えしていきます。各スタッフが自分の言葉で語りますので、ややつたない表現になることもあるかもしれませんが、大目に見ていただければ幸いです。

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2023年度ブログ(15)
特別体験!館内で江戸組紐体験をしませんか?

 

 今回は特別体験メニューの一部、江戸組紐について報告します!

 江戸組紐とは、絹糸を組んで作る紐のことであり、伸縮性に優れて丈夫という特徴があります。主な使用用途は、昔は武具の鎧や刀の下げ緒、着物の帯締めなどでしたが、現在はそれ以外にも幅広く使用されています。今年度は12月には日常で使いやすいめがね紐とキーホルダー、2月には帯締め作りをしました。

   12月に実施しためがね紐とキーホルダーは水色と金色でさわやかな色のものでした。組み方はものづくり工房でも実施している丸源氏組です。組紐初心者も多い中、講師の先生方の手を借りつつ、黙々と組んでいきました。
 体験者の中には、少し組み方が間違ってしまう部分もありました。それでも時間内に90㎝以上の長さを組み、無事めがね紐とキーホルダーが完成しました♪

◎体験の様子

◎完成品(見本)

 

 

 2月には、帯締め作りを行いました。組み方は12月のめがね紐とは異なり、ゆるぎ組という帯締めの中でもよく使用される組み方でした。通常体験では実施していない組み方で長さも160㎝と長かったのですが、みなさん上手に組み終わることができました!

◎体験の様子 

 ◎完成品(見本)

 

 参加してくださったみなさま、ありがとうございました。

 当館ではものづくり工房にて通常体験でも江戸組紐づくりを実施しています(水・土限定)。また来年度も特別体験で江戸組紐を実施します!通常体験で扱わないような色合い・組み方をしますので、今後も引き続きご興味のある方の体験お待ちしております!!

 追伸

 当館のYouTubeチャンネル「れきみん埼玉ちゃんねる」でも、組紐職人の技術の一部を公開しています。ぜひ、ご覧ください!

 ①経切りの様子 

 ②羽織紐の作成 

 ③角台や綾竹台

 令和6年3月22日 くみひも

2023年度ブログ(14)
みんなでたたこう!さんてこ囃子体験♪

 

 当館では、毎年様々な体験講座を実施しておりますが、今回は2月3日(土)に行われたお囃子体験教室「さんてこ囃子」について、報告します。

 さんてこ囃子とは、埼玉県北部から群馬県にかけて行われている祭囃子の一つで、太鼓と鉦の音色がとても美しいお囃子です。
 今回はこの「さんてこ囃子」を小学生から大人まで多くの方に体験してもらいました。
 体験実施日には、まず講師である博物館クルーの「唐破風」に見本の演奏をしていただきました。
バチをクルッと回すなど、一つの演奏の中でも様々な技術を披露してくださいました。

◎見本の演奏

 

 演奏後、体験が開始され、まずは太鼓体験!
 叩くタイミングを言葉にしながら一歩一歩進めていきました。
 その後は、鉦の体験です。
 中には鉦の響く音色に驚く子供たちもいましたが、徐々に慣れてきて最後まで演奏の練習をすることができました。

◎体験の様子

 最後には、全体で合わせ練習をし、お客さんを呼んで演奏会をしました。
 最後の演奏会をご覧いただいたお客さんからも好評でみなさんが頑張った成果が表れていたと思います。

 ご参加いただいた皆様、ご観覧いただいた皆様、ありがとうございました。

 来年度も実施しますので、ぜひご参加ください!!

 令和6年3月21日(木) ドドン

2023年度ブログ(13)
特別体験事業「十二単・小袿と男子装束の着装体験」

 

当館では特別体験メニューとして毎年多くの体験イベントがあります。
今回は、「十二単・小袿と男子装束」の着装体験の様子をお伝えします!

この体験では、国風文化が花開いた平安時代に誕生した、十二単をはじめとする女房装束や、公家装束の着装体験をします。人気が高いイベントで、毎回抽選となっています。
「衣紋者」と呼ばれる着付けの専門スキルを身に着けた方々が着装をしていきます。

着装する装束は大きく分けて3種類あります。

「十二単」はご存じの方が多いかもしれませんが、身分の高い女性が儀式の際に着る正装です。
名前に「十二」とあるので、十二枚着ると思われがちですが、平安時代初期は枚数の決まりはなく、4、5枚の時もあれば、20枚も重ねていたという記録もあります。
イベントでは、高校生以上の方が着ることができます。

 

 

もう一つ高校生以上が対象の装束が「男子装束」です。

こちらは男子装束の中でも「直衣(のうし)」と呼ばれる、身分の高い男性の普段着です。

 

小学生~中学生の参加者は「小袿(こうちぎ)」と呼ばれる、身分の高い女性が日常的に着ていた装束を着装します。

 

次回は、4月27日(土)に開催されます!

現在絶賛受付中です。(申込受付は3/12まで)。
こちらから(埼玉県電子申請・届出サービス)から応募できます。

平安時代にタイムスリップしたような雅な体験をしてみませんか?
皆様のご応募お待ちしております!

令和6年2月29日(木) みやび

2023年度ブログ(12)
藍の型染めミニトートバッグ作り

 

寒い日が続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今回は、ゆめ・体験ひろばの特別体験メニュー「藍の型染めミニトートバッグ作り」についてご報告させていただきます。

本事業は令和5年11月23日(木・祝)、24日(金)の2日間行われました。
通常、博物館で体験できるのは「絞り染め」ですが、特別体験では「型染め」の技法でミニトートバッグを作りました。

 

まずは型紙選びから始まります。
花柄、動物柄、古典柄など色んな型紙があるため、迷われているお客様もいました。

 

型紙を決めたら、糊を練り込みます。
糊の材料はもち米、ぬか、石灰です。

 

糊ができたらトートバッグに型紙をのせ、ヘラを使って糊をのせます。
糊を均一に布にのせるのが難しそうでした。

 

糊が外れないように、上からおが屑をかけ、少し乾かしておきます。
午前の作業はここで終わりです。

 

 

午後は藍甕を使い、トートバッグを藍色に染めていきます。
今回は二度、染めました。

 

 

最後に振り洗い、色止めをして完成です。
皆さん素敵な作品に仕上がっていました。

 
    【11月24日(金)に体験された皆さん】

 

もう申込は締め切ってしまいましたが、2月24日(土)には「型付け藍染め体験」を実施します。
ご興味がある方はぜひご見学にいらしてください。

来年度以降もミニトートバッグ作りを実施する予定です。
申込の時期になりますと博物館のホームページ等にお知らせが掲載されますので、ミニトートバッグ作りの方に興味がある方は、博物館のホームページ等で最新情報をご確認ください。【イベント情報のページ】

ちなみに、来年度の「藍の型染めミニトートバッグ作り」は5月頃に申込受付を行う(6月実施)予定です。
皆さまのご参加をお待ちしております。

 

令和6年2月20日(火) AM

2023年度ブログ(11)
「巡り・廻りの民俗行事」記録映像公開中!

 

前回のブログでも紹介しましたとおり、展示室では行事の記録映像を上映しています!

映像はそれぞれ20~30分ほどの内容です。
モニター前には椅子もございますので、ゆっくりとご覧くださいませ。
静かな展示室に聞こえる鉦や太鼓の音はなんとも情緒的なものです。

上映内容は週替りですので、気になる行事がある方は上映スケジュールをご確認ください。

 

さて、このブログを読んでいる方の中には

○○の映像が見たかったのに、気づいたら終わっていた…!
そもそも巡り・廻りの民俗行事の展示をいま知った…!

という方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。
わたしもそういった経験をよくして悔しい思いをする人です…

 

そんな方もご安心ください!
一部映像は館公式YouTubeチャンネル「れきみん埼玉ちゃんねる」でも公開中です。

また、DVDで販売している行事もございますので、ぜひおうちでも巡り・廻りの民俗行事をお楽しみください!

 

「れきみん埼玉ちゃんねる」公開中の行事
 
風布の回り念仏(秩父郡長瀞町)
(YouTubeのページに移動します)
  玉敷神社のお獅子さま(久喜市菖蒲町小林下の寺)
(YouTubeのページに移動します)

 

なお、YouTubeで公開している動画は展示室で上映している映像よりも短く、ぎゅっと5分ほどにまとめたものです。
気軽に見ることができますので、お時間のある時にぜひご覧ください~!

当館ミュージアムショップでは、DVDの他に「巡り・廻りの民俗行事」に関する報告書も販売しています。
展示では紹介しきれなかった行事についても掲載していますので、さらに知りたいという方はこの機会にぜひお買い求めくださいませ!


令和6年2月14日(水) 木彫りのこぐま

2023年度ブログ(10)
文化遺産調査活用事業報告展示「巡り・廻りの民俗行事」開催中!

 

みなさんが暮らす地域では、どんなお祭りや行事が行われていますか?
また、神さまや仏さまに祈る時はどんな風にしていますか?

お祭りと聞いて、神輿や山車・屋台が登場し、人が多く集まるにぎやかなものをイメージされる方が多いのではないでしょうか。
神仏へ祈る時は、初詣のように神社やお寺に参拝して祈るという方もいれば、家の神棚に祈る方もいるかもしれません。

県内には人が参拝・巡礼に出向くのではなく、地域の中で神仏の像や数珠、経典、獅子頭などが巡り廻る祭りや行事、習俗が分布しています。
霊験あらたかな神仏を迎えることで、地域社会や家が直接その力にあやかろうとしてきました。
当館ではこれらを「巡り・廻りの民俗行事」と位置づけ、平成28年度から調査を進めてきました。

本展示では、その調査報告として県内で現在も行われている「大数珠を伴う村廻り」「廻り地蔵」「大般若経の村廻り」「獅子廻し」の行事を中心に紹介しています。

【チラシ】巡り・廻りの民俗行事.pdf

開催にあたり、地域の方々から大切な品々をお借りしてきました。
展示資料の多くは現在も実際に行事で使用されているもので、地域の外に出てお披露目されることはめったにありません。

お借りして展示することは恐れ多くもありましたが、いざ展示作業を終えてみるとなんと清々しい気持ちでしょうか。

展示をとおして霊験にあやかるというと差し出がましいかもしれませんが、百聞は一見に如かず、ぜひ実際にご覧くださいませ!

 

 

また、展示室では行事の記録映像を上映中!

映像は調査事業の一環として撮影したもので、内容は週替りです。
詳しくは上映スケジュールをご覧ください。

 

「巡り・廻りの民俗行事」調査は、平成28~令和2年度に第Ⅰ期調査を実施し、令和3~7年度の予定で第Ⅱ期調査を進めています。
途中経過ではありますが、展示として調査内容をお披露目できたことは、担当者として嬉しいかぎりです。

今回の展示では、残念ながらご紹介できなかった内容もたくさんあります。
個人的な夢として、今回かなわなかった内容も入れていつか総まとめの報告展示を開催したいですね。

小さな展示ではありますが、大切なものをぎゅっと詰め込んだ見どころ満載の内容です。
映像までじっくりと見ると、観覧の所要時間は1時間になってしまうかもしれません。
満喫したい!という方は、お時間に余裕をもってお越しくださいませ。

地域に伝わる民俗行事について、少しでも多くの方に興味を持っていただけると嬉しいです。
なお、紹介している行事の多くは、観光として地域の外から大勢の人がくる大規模なものではなく、地域の中で大切に続けられている小規模なものです。
もし見学に行く場合は、ご配慮くださいますようお願いいたします。

最後に、調査の実施および展示の開催にあたり、ご協力いただきました各地域のみなさまに厚く御礼申し上げます。

 

令和6年2月13日(火) 木彫りのこぐま

2023年度ブログ(9)
実録!特別展「鉢形城主 北条氏邦」への道①

 

  令和6年度 チーム氏邦展 メンバー紹介☆彡 

Kさん 本展の主担当。専門は日本近世史。今回初めての展覧会担当でドキドキ。食いしん坊。
Sさん 本展の副担当。専門は保存科学。今回初めての展覧会副担当でドキドキ。自宅にちいかわとシルバニアの祭壇がある。峰不二子に憧れてバイクに乗っている。
Nさん 本展の副担当。専門は仏教美術史。今回初めてのブログ座談会書記でドキドキ。一昨年子供が生まれて、毎日フレディー・マーキュリーの映像を見せて英才教育中。
天の声 本展企画者。専門は日本中世史。現在育児休業中。上記3人の動向にドキドキ。

 

 特別展「鉢形城主 北条氏邦」の開催まで、残すところあと1ヶ月半となりました。担当者達は現在展覧会準備に邁進しています。
 さて、年の瀬まで遡って打ち合わせ中の出来事を振り返ってみます。図録の校正作業まっただ中でしたが、一息ついたついでのやりとりをご覧ください(現在も絶賛校正中!)。

 

N

 

年が明けたら、あと3ヶ月くらいで特別展「鉢形城主 北条氏邦」が始まりますね。
ところで、今更ですが、北条氏邦っていったい何者ですか?
小田原にこの前行ってきたときにも北条氏がいたのですが、同じ方ですか?小田原だけに、かまぼこがお好きだったりしますか?

K  

おんなじ人ではありません。

S   あはは、そんなわけないじゃないですか~(笑)

で、誰なんです?

K  

小田原にいた氏康さんの息子です。なんと五男坊です。

S  

一番下のお子さん?

K  

まだいます。

S  

子だくさんなんですね!何人兄弟なんですか?

K  

図録の系図に載せているだけで8人兄弟です。

N  

え~~~~~!!!!すごい!

K   ・・・と、考えられています。

諸説あったりして、記録も残っていないので生まれた年もはっきりわからないくらいなのです。

<天の声の補足>
図録の系図に載っているのは男子だけですが、氏康の子どもにはもちろん女子もいました。養女を含めると9人はいたと考えられており、その場合は男女合わせて17人兄弟ということになります。

 

S  

五番目の子供だと扱いが適当なんですかね?

N  

(爆笑)

K  

真面目に聞いてください!最近の研究によって天文17年(1548)生まれ説が有力視されています。

 <天の声の補足>

氏邦は、以前は四男と考えられていましたが、誕生年に関する新説が提唱されたことによって、天文14年生まれの氏規(うじのり)より年下の五男と考えられるようになってきています。

 

N  

今から500年くらい前!?まだ私は生まれていないなぁ

S  

当たり前じゃないですか~
どうして1548年生まれが有力なのですか?

K  

小鹿野町の法養寺薬師堂に残る、氏邦が奉納したと伝わる仏像の足枘(あしほぞ)に、墨で「氏邦本明星(ほんみょうしょう)」と書かれているんです。

N  

ちなみに足枘というのは、仏像の足の裏についている突起状のもので、台座にしっかりはめこむためのものです。

     
S  

どうして足枘の墨書でわかるのですか?

K  

仏像は十二神将という種類のもので、子丑寅・・・の十二支に対応したお像です。氏邦の名が入っているのが申年に対応する像で、「本命星」と足枘に書かれていることから、氏邦の産まれ年の候補の中で申の年を探すと・・・

SN  

天文17年!?

S  

ところで、「ほんみょうしょう」って何ですか?

K  

陰陽道の九星のうち、その人の生年にあたる年のことです。

N  

九星っていうのは一白水星とか、三碧木星とかですよね!占いで聞いたことあります。
私は三碧木星でした。

S  

一緒だ~

K  

ズバリ言いますが私は六白金星です。実はこの十二神将は令和元年から4年もかけて修理中だったのですが、このたび修理が完了し、展覧会で修理後初出品となります!

S  

勢揃いするんですね!

N  

でも、これだけのお像が一つのお堂に安置されていたということですが、調査なんかも大変だったのではないですか?

K  

調査は・・・遠かった・・・

N  

確かに。博物館からだと5時間くらいかかるんですよね!?

K  

チャリで行くんじゃないんだから!でも車で2時間半ぐらいはかかりますね。

<天の声の補足>
博物館との往復で5時間程度かかります。現地で使える時間が短いため、調査は効率良く行う必要がありました。

 

S  

よかったことはなんですか?

K  

秩父方面の調査で、私はわらじかつデビューをしました!おいしかった・・・

S  

いいな~

K  

もう、わらじかつを食べるお作法もバッチリ

S  

今度教えてください!

<天の声の補足>
わらじかつ丼は、わらじに見立てられる大きなとんかつが通常2枚のり、あまからいたれで味付けされた秩父地方周辺の名物料理です。2枚のうち1枚を、裏返した丼の蓋に移してから食べ進めるのが地元流です。

 

N  

ちょっとちょっと!お堂と仏像のことはどうだったのですか!

K   そうでしたそうでした、展示担当にきて初めての調査だったので最初は緊張しました。

法養寺薬師堂は「目薬師」とも呼ばれていて、眼病にご利益があるといわれているんです。お堂にもたくさんの絵馬が掛かっていますよ。私は視力が悪いので、念入りにお参りしてきました。
中に入ると暗いお堂に光りが差し込んで、須弥壇にずらっと鎮座するお像が目に飛び込んできて思わず「おおっ!!」と声が出ちゃいました。

N   これがその時の写真ですね
   
    私は遅れてお像を実際に拝観したのですが、写真で見ていたよりもずっと迫力があって、驚きました。
     
S  

私は撮影の時に初めて見たんですが、かわいかったです。
十二神将それぞれの頭部に対応する十二支を示すサインがあるのですが、未(ひつじ)と戌(いぬ)と亥(いのしし)の区別がつきませんでした!

   

 左から、未(ひつじ)、戌(いぬ)、亥(いのしし)

 

N  

 本当だ、初見だと難しいですね。でもかわいいですね

S  

自分の生まれ年のものをつい写真撮りたくなっちゃいますね

N  

展示される時にも写真って撮っても構いませんか?

K  

いいんです!!今回は法養寺薬師堂奉賛会様に特別にご許可をいただいています。
(※日光菩薩・月光菩薩立像及び十二神将立像のみ撮影可能)

地元で大切に守り伝えられてきたお像を間近でご覧いただけるまたとない機会です!

特別展「鉢形城主 北条氏邦」は令和6年3月16日(土)から!
ぜひ多くの方にお越しいただきたいです!

<天の声の補足>
今回出品される法養寺薬師堂の木造日光菩薩・月光菩薩立像と木造十二神将立像計14躯は、北条氏邦とその家臣たちが天正13~14年(1585~86)に奉納したものと考えられています。令和の修理事業により、江戸時代の修理による部材の入れ替わりや後補の彩色が整理・除去されるなど、奉納当時により近い姿へと復原されました。ぜひ、この機会に多くの方々にご鑑賞いただだければ幸いです。

 

N  

なんだか今日はずっと氏邦展について、何かにつけて詳しく説明してくれている誰かの声がかすかに聞こえる気がする・・・

 

つづく

 

令和6年2月2日(金) 摩利子天

2023年度ブログ(8)
お正月開館!!

 

新年あけましておめでとうございます。
本年も県立歴史と民俗の博物館をどうぞよろしくお願いいたします。

さて!新年一発目のブログは、2日、3日に実施された「お正月開館」についての御報告です。
お正月開館については、昨年度は改修工事期間中の為、実施できなかったので、2年ぶりの開催となりました。

12月末に館内の飾りつけ等を行い、1月2日(火)、3日(水)と特別仕様での開館を行いました。
エントランスには、金屏風と獅子舞を並べて、写真撮影ブースも用意しました。

コバトンもノリノリでした♪

 

 

ゆめ・体験ひろばも、お正月の飾りつけを行い、通常の体験メニューの代わりに、自由自在座では、「福笑い」や「投扇興(とうせんきょう)」、「かるた遊び」をお楽しみいただきました。(当日先着順)

 

 

 

 

 

全国各地の凧や独楽、福熊手などで飾りつけをした自由自在座の様子は、館の職員にとっても久しぶりの光景となりました。

   

 

 

また、ものづくり工房では、「絵馬パズル」や「すごろく」、「銘仙の衣装体験」を体験していただきました。

   

 

昭和の原っぱでは、通常の遊び道具の「ベーゴマ」や「独楽」、「フラフープ」などに加えて、「羽子板」でも遊んでいただけるようにセッティングを行いました。

 

 

「コバトン」や「さいたまっち」、「獅子舞」も登場し、賑やかな二日間となりました。

 

 

 

 

新年から御来館いただきました皆様、大変ありがとうございました。そして、今年も様々なイベントを企画して参りますので、皆様の御来館を心よりお待ちしております。

 

令和6年1月8日(月) 獅子舞子

2023年度ブログ(7)

2年ぶりに開催 『正月開館イベント「博物館でお正月」』~県立大宮光陵高等学校書道科生徒さんの作品が皆様をお迎えします~

 

 年明け1月2日(火)・3日(水)の2日間、当館は元気に正月開館いたします!
 今年のお正月は工事休館中だったため2年ぶりの開催となりますが、この2日間は「博物館でお正月」と題して、館内で様々な催しを企画しております。

→イベント「博物館でお正月」の詳細についてはこちら

 

 この正月開館イベント「博物館でお正月」の目玉の1つが大宮光陵高校書道科の生徒さんによる新年賀詞揮毫や作品の展示です。

 大宮光陵高校は全国で唯一、書道を専門に学ぶ「書道科」が設置されており、毎年、当館の正月開館イベント「博物館でお正月」に合わせて新年賀詞揮毫などの制作をお願いしています。

 

【校内での作品制作の様子】
 

 

 大宮光陵高校書道科の皆さんの作品が当館でご覧いただける貴重なチャンスでもあり、久しぶりに落ち着いて迎えられる新年に博物館で「お正月らしさ」を味わっていただければと思います!

 皆様の御来館を心よりお待ちしております。
 良いお年をお迎えください。

 

令和5年12月27日(水) ちょっと-GTP

2023年度ブログ(6)
埼玉縄文カードの配布施設に視察に行きました!

 

 
 令和5年11月14日(火・県民の日)から特別展「縄文コードをひもとく―埼玉の縄文土器とその世界―」の開催に合わせて、埼玉縄文カードを作成しました。当館と県内市町8か所の博物館施設で合計14枚のカードを配布中です。当館では、特別展観覧者を対象に6種類、お配りしております。おひとり様、各1枚ずつ、合計6枚お持ち帰りができます。

 
当館で配布している埼玉縄文カード6種   埼玉縄文カード配布コーナー

 

 埼玉縄文カードは県内市町にもご協力いただき、各地の”イチ推し”縄文土器をカードにしました。博物館で展示されている縄文土器の本物をご堪能いただき、その記念としてお持ち帰りいただくカードです。

 当館の他、飯能市立博物館、富士見市立水子貝塚資料館、毛呂山町歴史民俗資料館、本庄早稲田の杜ミュージアム、神川町多目的交流施設文化財展示室、春日部市郷土資料館、白岡市生涯学習センター歴史資料展示室、蓮田市文化財展示館でそれぞれオリジナルのカードを配布しています。

 12月の初めに、本庄早稲田の杜ミュージアムと神川町多目的交流施設文化財展示室にお邪魔し、埼玉縄文カードの配布状況を拝見しました。

 本庄早稲田の杜ミュージアムでは、受付でカードをいただくことができます。カードで紹介されている新宮遺跡の縄文土器は、常設展示で展示されています。写真だと大きさのイメージが付きにくいですが、本物を目の前にすると、その大きさと粘土隆帯による細かな装飾に圧倒されます。

   

 

 本庄早稲田の杜ミュージアムから神川町多目的交流施設文化財展示室までは車で30分ほどです。神川町多目的交流施設文化財展示室では、展示室内でカードを配布しています。カードで紹介されている縄文土器は、カードを配布している展示室内に展示されています。現在のやかんのように、持ち手のような造形がある注口土器はめずらしいです。小振りで形の整った縄文土器です。

   

 

 配布を開始して半月のあいだに、数百名の方が来館され、さらに3施設以上を回った証である特典カードも数十名の方が交付を受けにいらっしゃったそうです。

 今回は当館から一番距離がある2つの施設を訪ねました。埼玉県の縄文土器をみなさんに知ってほしい、という思いで企画された埼玉縄文カード事業。来館者の方はもちろん、博物館のなかでも自分の市町村の縄文土器をあらためて見直す機会になればうれしく思います。

 

令和5年12月24日(日) あかべこ

2023年度ブログ(5)
特別展「縄文コードをひもとく―埼玉の縄文土器とその世界―」を開催中です

 

 令和5年11月14日(火・県民の日)から特別展「縄文コードをひもとく―埼玉の縄文土器とその世界―」が開催中です。工事休館明け初の特別展であり、リニューアルした特別展示室のおひろめも兼ねています。

 季節展示室を抜けて、特別展示室へ向かいますが、本展覧会の入り口は奥側になります。まっすぐ行くと順序が逆になりますので、ご注意ください。

 
突き当りを左へお進みください。   頭上にバナーを掲げてあるほうが入り口です。

 

 この展覧会では埼玉県内出土の縄文土器を選りすぐり、約230点を展示しています。これらは縄文時代草創期(約1万6000年前)から縄文時代晩期(約2300年前)までに作られ、使われていたものです。第Ⅰ部では埼玉県内の縄文土器を文様(Cordコード)に注目しながら通史的に紹介し、第Ⅱ部では土器に込められた縄文人の思想(Codeコード)に迫ります。

 似た特徴を持っていたとしても、全く同じ土器というのは存在しません。十人十色な縄文土器が展示ケースのなかから「自分を見て!」とアピールしているようです。壁付きのケースは新しく設置された照明により、斜め下から光を当てることができるようになりましたので、縄文土器の文様がよく見えます。縄文土器好きの方々には、またとない絶好の機会です。

 特別展は令和6年1月14日(日)までです。是非”推し土器”を見つけて帰ってください!

 

 

令和5年12月22日(金) あかべこ

2023年度ブログ(4)
今年も開催!県民の日特別イベント「唐破風 祭り囃子live」

 

 今年度も昨年度に引き続き、県民の日に博物館クルー「唐破風(からはふ)」による「祭り囃子live」を開催しました!

 今年も天気に恵まれ、演目も昨年と同様の埼玉県と縁の深い「秩父音頭」や「秩父屋台囃子」だけでなく、新たに「江戸囃子」の音色にのせて「獅子舞」も踊ってくださいました。

 

 

 観客席にお客様が集まるか不安でしたが、各部の開演前には、「唐破風」の皆様がリハーサルをしてくださったことで、それを聴きつけた方々が足を止めてくださったことにより、どの部もご来館いただいたお客様に恵まれたのは嬉しかったです。

 第二部、第三部では、秩父音頭の踊り方講習会も実施し、観覧席だけでなく立見の方も手振りを真似してくださいました!職員も講習会のおかげで「唐破風」の方に交じって踊ることができました!!

 第三部の前にはリハーサルの時間に実際に観客席に集まってくださった方々を対象に太鼓をたたいてもらう時間も設けてくださり、様々な形で皆様が祭り囃子に触れられる機会が提供できたのはよかったと思います。

 各部30分程度という短い時間でしたが、盛りだくさんでお届けいただいた博物館クルー「唐破風」の皆様、そしてご来館いただいた皆様にも厚くお礼申し上げます。

 

令和5年12月20日(水) 祭り囃子踊り隊

2023年度ブログ(3)
さいたま市の「区民まつり」に参加してきました!

 

 ここのところ急に寒くなって参りましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
 歴史と民俗の博物館は10月と11月に開催された、さいたま市の「区民まつり」に出展してきました。本日はその時の様子をお伝えします。

 

 参加させていただいたのは、令和5年10月28日(土)に開催された「2023大宮区民ふれあいフェア」と、令和5年11月11日(土)に開催された「第21回西区ふれあいまつり」です。
 前者は毎年10月下旬頃にソニックシティで開かれている大宮区の区民まつりで、後者は毎年11月頃に三橋総合公園で開かれている西区の区民まつりです。

 当日の朝があいにくの雨だったり、風が強く寒い1日だったりとしましたが、寒さにも負けずにたくさんの方が当館のブースを訪れてくださいました。訪れてくださった皆さま、本当にありがとうございます。

   
     
   

 

 

 出し物としてはチラシ配布のほかに、恒例になりつつある『ホンモノにさわろう 土器クイズ』を行いました。このクイズは、出土した様々な本物の土器片に触ってもらって、その作られた時代を古い順に当ててもらうというものです。
 なんと今年は、参加賞に加えて、全問正解者には特別な景品をご用意させていただきました!

   

 

  小さなお子様から大人の方まで、時にはご家族やご友人たちと一丸となって、本物の土器の破片に触れながら、皆さま真剣にクイズに挑戦されていました。お楽しみいただけたようで、職員一同うれしく感じております。

 

 

  また来年も出展する予定ですので、惜しくも全問正解を逃してしまった方は是非また挑戦にいらしてください。もちろん、初挑戦の方も大歓迎です!お待ちしております。

 

令和5年11月29日(水) フライドぽてと 

2023年度ブログ(2)
お待たせしました、リニューアル・オープン!

 

 当館は昨年の12月5日から施設改修工事のため閉館していましたが、無事に工事も終了し、10月14日(土)に再開館しました。工事の内容については、前回のブログで紹介されていますので、今回はオープニングを記念して実施したイベントについて、遅ればせながら報告します。

 

 まず、オープン初日の14日(土)には、加須市玉敷神社で奉納される、国指定重要無形民俗文化財「玉敷神社神楽」の公演を、神楽保存会の方々にお願いしました。玉敷神社神楽の特徴は、様式的な舞を中心としながらも、演劇的な要素も取り入れているところです。

 当日の演目は、この神楽の特徴をよく表す、鹿島・香取の連れ舞、戸隠明神の舞、恵比寿の舞、山めぐりの4座でした。この日は朝から快晴で、まさに神楽日和。にぎやかなお囃子や優雅で勇壮な舞、そして滑稽な恵比寿の舞などに、野外ステージを囲んだ200人以上の方々が酔いしれた40分でした。

 
恵比寿様がみごとに鯛を釣り上げました!   多くの方にご覧いただきました

 

 15日(日)には、埼玉大学邦楽部琴吹会のみなさんに、箏・三味線・尺八によるアンサンブルをお願いしました。歴史を扱う博物館らしく、和のテイストで華やかに皆様をお迎えしようと企画しました。普段は広々とした空間のエントランスに、和楽器の優雅な音色が響き渡りました。

 現代風な曲や和楽器用にアレンジした曲など、邦楽という観念を超えた新鮮な調べが胸を打つ演奏会となりました。お客様も大変満足されて、じっくりと聴き入っていらっしゃいました。

 朝から土砂降りの雨にもかかわらず、多くの方にお集まりいただき、本当にありがとうございました。

 
埼玉大学邦楽部琴吹会による演奏

 

 また、両日とも、職員による博物館裏方探検隊スペシャルと展示リニューアル解説ツアーを実施しました。博物館裏方探検隊スペシャルは、通常毎週土曜日に行っている博物館裏方探検隊に加え、今回どのような工事が行われたのかを拡大バージョンで皆様にご紹介しました。普段は見られない空調室や消火設備などもご覧いただきました。

 展示リニューアル解説ツアーは、今回の工事期間中に常設展示室の第10室(民俗展示室)の全面リニューアルと、第1、2室(考古展示室)の一部リニューアルを行ったので、オープニングにあわせてご案内をしました。

 
博物館裏方探検隊スペシャル   展示リニューアル解説ツアー

 

 オープニング記念イベントは、お蔭様をもちまして盛況のうちに終えることができました。10か月も休館していたので、世間から忘れられているのではないかと心配していましたが、2日間で1000人を超える入館者をお迎えしました。お客様からは、再開館を待ちわびていた、また展示が見られるようになってよかった、というお話も伺いました。これからも、皆様のご期待に沿えるような、充実した事業を進めてまいりますので、今後とも当館をよろしくお願いいたします。

 最後に、快くイベントにご出演いただいた、玉敷神社神楽保存会及び埼玉大学邦楽部琴吹会の皆様、そしてご来館いただいた多くの皆様に厚くお礼申し上げます。

 

令和5年11月8日(木) 副館長

2023年度ブログ(1)
新しくなった設備を御紹介します

 

 10月14日、15日にリニューアル記念イベントが行われました。

 その中の「博物館裏方探検隊スペシャル」では、大規模改修工事で改修した設備について紹介し、たくさんの方に御参加いただきました。この記事では、博物館裏方探検隊スペシャルで紹介した内容の一部と当日残念ながら紹介できなかったとある場所を改めて紹介したいと思います。

 

~空調機能~
 大規模改修工事では展示室の空調系統を分ける工事を行いました。当館は水辺に建てられており、また、1階と地階に分かれている構造から資料保存にとって重要な温湿度管理が非常に難しい場所です。工事前は展示室全体を一括して空調管理していましたが、工事を経て1階の展示室、地階の常設展示室7室と8~10室の3系統に分けて空調管理ができるようになるとともに、センサーの増設により適切に温湿度管理ができるようになりました。

 

~季節展示室~
 工事前の当館の季節展示室は木製の天井や竹と畳を基調としたケースなど和風の趣を持つ部屋でした。日本古来の資料に合う非常に雰囲気のある展示室でしたが、現代的な資料も数多く展示されるようになってきた中で、どのような資料にも合う部屋となるように、白色を基調とした部屋に改修しました。

改修工事前

改修工事後

 

~特別展示室~
 特別展「縄文コードをひもとく―埼玉の縄文土器とその世界―」の準備のため、博物館裏方探検隊スペシャルで紹介できなかった場所が、特別展示室です。特に注目していただきたいところは展示ケースになります。明るさや色調を自在に調整できるようになり、当館の学芸員の考える一番良い資料の見せ方で展示することができます。

明るさも細かく調整可能

白色⇔暖色の切り替え

 

 特別展は11月14日(火・県民の日)から開催されます。展示資料に加えて、新しくなった博物館の機能もぜひお楽しみください。

 

令和5年10月29日(日) 木こり