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スタッフブログ

 

 

 

このページは、「2025年度ブログ」のページです。
埼玉県立歴史と民俗の博物館のスタッフが、博物館のイベントや大宮公園の様子、日々の業務から感じたことなどを皆様にお伝えしていきます。各スタッフが自分の言葉で語りますので、ややつたない表現になることもあるかもしれませんが、大目に見ていただければ幸いです。

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2025年度ブログ(1)

 

館ロゴ    特別展「はたらく装いのフォークロア」 ここに注目!

 

現在開催中の特別展では、人々がはたらく際に身に着けた衣服や用具についてご紹介しています。
展示資料には、たくさんの「実用的な工夫」や「さりげない美意識」が隠されています。
ここでは、みなさまにぜひ注目してほしいポイントをご紹介します!

 

【注目ポイント①】刺子の実用性と美

写真の資料「サキオリソデナシ」(神奈川大学日本常民文化研究所蔵)は、そりをひくときなどに重ね着した山形県庄内地方の防寒着です。
右肩から左脇にかけて、刺子(さしこ)を施した布がつけられています。
そりの引き綱が当たり擦り切れやすい部分を補強する意味がありますが、刺子の美しさも目を引きます。実用性と美を兼ね備えた資料です。
刺子の図案は、「柿の花」と呼ばれるものです。

  

(左)サキオリソデナシ 全体図(神奈川大学日本常民文化研究所蔵)
(右)サキオリソデナシ 刺子拡大図(神奈川大学日本常民文化研究所蔵)

 

【注目ポイント②】染め布の組み合わせ

かつて布は貴重なものだったため、衣服の一部分が傷んでも、繕(つくろ)ったり他の布と継ぎ合わせたりして長く使いました。
写真の資料「ジュバン」(当館蔵)は、袖と胴とで異なる柄の布が使用されています。
袖の部分には、糸を染めてから織る先染(さきぞめ)の布が、胴の部分には、布を織ってから染める後染(あとぞめ)の布が、それぞれ使用されています。
作った人や着用した人の、工夫と美意識を感じますね。

 

 

(上)ジュバン 全体図(当館蔵)
(左下)ジュバン 袖の拡大図(当館蔵)
(右下)ジュバン 胴の拡大図(当館蔵)

 

【注目ポイント③】祝着に込められた祈り

房総半島には、稀にみる豊漁の年に、網元や船主が漁期の最後に関係者を集めて大漁祝いを行う習俗があります。
その宴席や、宴席で引出物として配られる祝着の反物は、万祝(マイワイ、マンイワイ)と呼ばれます。
羽織に仕立てられた万祝着は、仕事始めや仕事納めに船の仲間とそろって寺社に参拝する時に、着用されました。
写真の資料「万祝着 鰹漁」(館山市立博物館蔵)を見ると、「大漁」の文字や、「年々歳々」の吹き流しをくわえた鶴、カツオの大群、「鰹漁」の吹き流しをくわえた亀など、たくさんのめでたいものが華やかに描かれています。
万祝着には、その年の大漁を祝う気持ちとともに、これからの大漁を祈る気持ちが込められています。

 

 

 

(上)万祝着 鰹漁 全体図(館山市立博物館蔵)
(左下)万祝着 鰹漁 拡大図1(館山市立博物館蔵)
(右下)万祝着 鰹漁 拡大図2(館山市立博物館蔵)

 

特別展「はたらく装いのフォークロア」は5月6日(火・振休)まで開催しています。

 

特別展最終日の5月6日(火・振休)には、13:30から、学芸員による展示解説を予定しています。
参加費無料、事前申込は不要です。

 

詳細はこちらからご覧ください。
特別展 はたらく装いのフォークロア - 埼玉県立歴史と民俗の博物館

 

みなさまのご来館を心よりお待ちしております!

 

令和7年5月2日(金) つくし