「田んぼ」調査中!③―青田刈り編―

来年3月スタートの企画展「田んぼ」に向けて、県内の様々な田んぼを調査しています。

今回は、加須市わら細工保存会の御協力を得て、青田刈りの様子を取材させていただきました。

青田刈りとは、稲が実らないうちに刈り取ってしまうことです。

(語感が似ていますが、「青田買い」とは違います。)
秋にお米を収穫したときに副産物でできる稲藁では、長さがばらばらだったり、短すぎたりと
わら細工の材料に適さない場合があるので、稲穂が垂れる前に刈ってしまうのです。

台風で倒伏しては台無しなので、こちらの保存会では例年8月初旬に刈り取ることにしているそうです。


取り作業は朝早くから始まりました。約15名の方が、作業に参加されました。


を使って、手刈りします。長さを揃えて収穫するには、機械には頼れないのだとか。

り取ったら、広げて一週間ほど干しま


ギではありません。
2~3回ひっくり返し、まんべんなく水分を抜いて、緑色が残らないようにします。



こうしてできあがった稲藁は、臼と杵でやわらかく伸された後、さまざまなわら細工に加工されます。

さて、今年はどんな作品が作られるのでしょうか?

青田刈りとわら細工については、企画展や関連事業の中で、更にくわしく御紹介します!

(平成29年8月31日 展示担当 Fly!)
企画展「くらべる古美術」関連ブログ 第5回「さよなら、くらべる3人衆」



「くらべる古美術」の宣伝に勤しむ3人衆も、最後にひと仕事。

みんなで「くらべる古美術」の思い出を語っています。

企画展「くらべる古美術」は会期終了まであと少し!

「みんな、くらべる古美術もあとわずかで会期終了だね。」

「いろいろなことがあったオニね。」


「オニちゃんのおまぬけエピソードばかりが思い起こされるピョン。」

「(ウサちゃんは無視無視…)お魚をたくさんくらべたオニね。」

 企画展 水と魚のコーナー

「そうだね。あと、展示室では熊谷直実さんを見比べたよね。」

 企画展 武士のコーナー

「直実さんと敦盛くんの切ない物語が素晴らしい絵として表現されていたピョン」

「誰が描いたかによらず、直実敦盛は同じ風に描かれていたオニね。」

「あと、この写真を見て。」

 展示室の様子

「展覧会初日だピョン!初日には、昨年度このブログでも『綿飴』さんとして執筆して
くれていたお兄さんが遊びに来てくれたピョンね~。」

「僕らと一緒に写真が撮れる、顔出し看板も大人気だったよね!」


 大人気!顔出し看板

「そんなこんなで『くらべる古美術』ももう少しでおしまい…でも、みんな心配しないで。
次は秋の特別展『上杉家の名刀と三十五腰』が開催されるから!」

「待ってましたオニ!!!オニちゃんは刀剣大好鬼(だいすき)オニ!!
秋の展覧会がとっっっても楽しみオニ!!みんな、ぜひおいでくださいませオニ!!!」

「オニちゃん…」

「次の展覧会の宣伝も大事だけど、それはつまり何を意味するかわかってる…?」

「どういうことオニ??」

「もう私たちは解散ってことピョン!」

「私たち!ふつうの異類の者に戻ります!」

「えっ…えっ…いやオニ!!!いやオニ!!!え~~ん!」

「仕方ないよ、僕たちは『くらべる古美術』のための広報部隊なんだから…」

「オニちゃん!泣くなピョン!泣いている暇があったら、一人でも多くのお客様に
『くらべる古美術』を楽しんでいただけるよう宣伝のラストスパート頑張るピョンよ!!」

「わかったオニ!!オニちゃん最後のがんばりオニ!」

「よ~し!そしたらみんなで『くらべる古美術』の魅力をお伝えしにいくよ!」

くらべる3人衆
みなさん、あと少しだけ、よろしくお願いします!!

「そして……さようなら!」

(平成29年8月25日 展示担当 摩利子天)

企画展「くらべる古美術」関連ブログ 第4回「くらべるツボ!」



みなさま、こんにちは!

企画展「くらべる古美術」の会期も残すところあとわずか!
くらべる古美術」の宣伝に勤しむ3人衆の広報活動も、ラストスパートをかけています。

そんな彼らが、今日も今日とて「くらべる古美術」をご紹介します。

今日も美術のひみつをご紹介しますよ。

「わぁい!今日はどんな美術品を見るピョン?」

「今日のテーマは、ずばり、、、!!」

「良い仕事してますねぇ~~~~!ピョン」

「まずは、これを見て。」

展示風景

「うわっ! 壺だ!」

「なにその反応・・・語尾も忘れてるし・・・」

「だって、壺って何がいいのかよくわからないピョンだもん。
同じような茶色い壺が3つ並んでいるようにしか見えないピョン」

「でも、よ~く見て。この壺、何色?」

「常滑 壺」(当館蔵)部分

「だからさっき言ったピョン。茶色いツボ・・・あれ・・・?」

「うふふ」

「あ、青いピョン!!あと緑も!」

「ウサちゃん、よく気がつきました!そうなんです。
この、一見茶色い壺、よく見ると青と緑のグラデーションがあるんです。」

「すっごくきれいだピョン。壺、気に入った!」

「壺の魅力の一部、わかってもらえたかな?この色の部分は、自然の釉薬(ゆうやく)
がかかっているところなんだ。」

「ここにある壺は、それぞれの釉薬の色味をくらべて楽しむこともできるピョンね。
今日も美術のひみつを発見しちゃった!」


「ぜひ企画展に本物を見に来てくださいね!…ってあれ?今日は何だか静かだね。」

「あの緑色で顔の四角いオニがいないピョン。」

「オニちゃん、どこ行っちゃったんだろう・・・。」

「~~♪~~♪」

「あ!オニちゃんが近づいてくる!」

「~~♪~~♪」

「ゴキゲンだ…」

「みんな~元気オニか~?常設展示室3室で刀剣をたくさん見てきたオニよ~♪
オニちゃんは刀剣も大好きオニ♪だって、もうすぐ秋の特別展『上杉家の・・・」

「コラー!オニちゃん!何遊んでるの!ちゃんとお仕事して!!」

「ヒィッ!」

「あんまり遊んでると、『くらべる古美術』おわっちゃうよ!」

「あとちょっとしか会期がないピョン!」

「えっ!そうなのオニか!?」

「企画展『くらべる古美術』は831日まで!絶対に見逃さないでね!」

「御来館お待ちしておりますオニ!」

~ 次回、最終回! もうちょっとつづくオニ。 ~

(平成29年8月24日 展示担当 摩利子天)

企画展「くらべる古美術」関連ブログ 第3回「くらべるお魚のひみつ②」



みなさま、ご無沙汰しています。企画展「くらべる古美術」はもうご覧いただけましたでしょうか?
展覧会も後半戦に突入し、お子さんをはじめ多くの方に楽しんでいただいております。

企画展「くらべる古美術」の宣伝に勤しむ3人衆のこと、お忘れではありませんか?
彼らは決してお仕事をさぼっていたわけではありません。展示室ではもちろんのこと、当館ツイッターや、
展覧会の子供向けワークシートで活躍中です!
そんな彼らが、前回の続きとしてくらべる美術品をご紹介します。

~ ウサちゃんによる前回のあらすじ ~

鯉料理をおいしくいただいていたテンちゃんとオニちゃん…。そこへ草食のかわいい
ウサちゃんが颯爽とあらわれて企画展「くらべる古美術」を楽しくご紹介する…。
くらべるのは、葛飾北斎筆『鯉亀図』(県指定文化財 当館蔵)と、『青磁双魚文皿』(当館蔵)。


葛飾北斎筆「鯉亀図」(県指定文化財 当館蔵)

青磁双魚文皿(当館蔵)
食べてばかりの二人があてにならないので、かわいいウサちゃんは一所懸命
美術品の紹介をするも、食べ過ぎで苦しくなったオニちゃんが怒ってあばれだす・・・

どうなる、ウサちゃん!?

~ ウサちゃんによる前回のあらすじ 終 ~

「コラーっ!!ウサちゃん!前回はそんなんじゃなかったよ!
オニちゃんのことなんでそんな風に言うオニ!?」

「ごめんごめん、ほんのジョークだピョン。オニちゃんは大人の冗談がわからないピョンね」

「オニーッ!!!」

「まあまあふたりとも、落ち着いて。ウサちゃん、嘘はいけないよ。
さて、すっかりご無沙汰してしまって、みなさんごめんなさい!くらべる3人衆、最近はツイッターで
活動をしていますが、ブログも更新します。展覧会も後半戦!もうしばらくおつきあいくださいね。」


気を取り直すオニ。この二つの作品のどんなところをくらべるオニ?」

ズバリ、『鯉亀図』と『青磁双魚文皿』の魚たちが水に泳ぐ様子を、それぞれどんなふうに
工夫して表現しているか!です。
二人とも、このお皿には2尾の魚が描かれているのがわかるよね。これは“双魚文”といって、おめでたい
モチーフなんだ。」



「なんだか、お魚が、上に膜を張ったようにつやつやしているオニ。」

「ほんとうだ・・・水面みたい・・・。」

「どう?二人とも、わかったかな?このお皿は、青磁という青みがかったお皿。その青い色と、
つやつやした質感は釉薬(ゆうやく)というガラス質の特別な薬品をかけて焼きしめることで完成するんだ。」

「それでお魚が水の中にいるような効果が生まれるオニね~。」

「青磁の色と質感をうまく利用したモチーフなんだピョンね。」

「北斎の『鯉亀図』は、たくみな筆遣いで魚が水の中を泳ぐ様子を表現していたけれど(前編参照)、
この『青磁双魚文皿』はやきものの技法を活かして表現しているんだね」

「それぞれ違って、それぞれイイ!」

「オニちゃん、さっきは嘘をついてごめんピョン。」

「ううん、オニちゃんも大人げなかったオニ。」

「ふたりとも、仲直りしたみたいでよかった、よかった。」

「テンちゃん!早く『くらべる古美術』を見に行こうオニ!」

「まだまだくらべたりないピョン!」

「ふたりはすっかり仲直りしたね。美術品を一緒に楽しく見て、この心地よい関係が
ずっと続けばいいのに…」


~ 次回予告 ~

「オニちゃんは刀剣も大好きオニ」

「コラー!ちゃんとお仕事して!!」

~ つづく ~

(平成29年8月17日 展示担当 摩利子天)

「田んぼ」調査中!②―お手製の道具で農作業編―

来年317日から始まる企画展「田んぼ」に向け、担当学芸員は今日も資料調査を進めています。

とはいえ、取材させていただいている丸ヶ崎水田では、ゴールデンウイークに田植えを終了し、
一区切りとなりました。

これで稲作農家は秋まで暇になる?

とんでもない。秋に収穫するまで、害虫や害獣、病気の被害に遭わないよう、絶えず注意を傾けなくては
ならないのです。


日照りや台風などの天災にも気を付ける必要があります。

水路を詰まらせる原因になるので、除草作業もやらなければなりません。

まだまだ気が抜けない!

田植えを終えて間もない頃、除草剤を散布するというので丸ヶ崎水田を訪ねました。

この農家さんによれば、畦を強くするために適度な雑草は必要であるものの、田んぼの中に生えてくる
雑草の中には、稲の成長を妨げるものもあるため、早いうちに除草剤を散布する必要があるのだそうです。

稲の養分を吸い取ってしまう、ホタルイ

しかし、たくさんの田んぼを人の手だけで管理するのはとってもたいへんです。
そこで、6haの水田を持つ農家S氏が、お知り合いに作成してもらった道具がこちら!

除草剤散布用のラジコンボート!

それまでは、人が直接田んぼに入って除草剤を撒いていたそうですが、昨年からこの道具を導入し、
作業効率が上がったそうです。


ボートが縦横無尽に走り回ってもビクともしない稲の強さにも驚きです。

ところで、農薬散布用のボートは市販されているものもあるそうです。

ボートを使えば田んぼの奥や真ん中もすいすい撒いてくれるので、撒きムラもなし!

水田を疾走する姿は格好良く、通りすがりの人たちも足を止めて見入っていました。

しかしS氏にはいくつかのこだわりがあり、それらを適えたのがこちらの手作りボートなんだとか。

お手製の道具は、自分の望むようにセッティングできるのがいいですね!

企画展「田んぼ」では、こうした手作り農具にも新旧問わず注目したいと思います!

(平成29年6月27日 展示担当 Fly!)

企画展「くらべる古美術」関連ブログ 第2回「くらべるお魚のひみつ」


企画展「くらべる古美術」の宣伝に勤しむ3
人衆が、今日も企画展のご紹介に参りました。

おやおや、みんな食事中みたいです。

「むしゃむしゃ…オニちゃんは肉が好きだけど魚も大好きオニ!」

「僕は肉より魚が好きだなあ。もぐもぐ…この鯉の洗いに鯉こくは美味しいなあ。
淡水魚特有の臭みを感じさせないふくよかな甘み…もぐもぐ」

「みんな!ものを食べながらしゃべるなピョン!行儀が悪いですよピョン。
私は草食で肉や魚は食べないから、この隙に企画展の資料紹介をしますピョン」

「今回ご紹介するのは、企画展のポスターにも登場する、葛飾北斎筆「鯉亀図」!」


葛飾北斎筆 「鯉亀図」(県指定文化財 当館蔵)

「あっ!僕が今食べている鯉の絵だ」

「かつしかほくさいって、オニちゃん聞いたことあるオニよ!富士山の絵で有名な人オニね?」

オニちゃん、それ正解だけどさぁ…

「ウサちゃん!また語尾忘れてるしオニちゃんのことバカにしてる!」

「こらこら、ケンカしないで。オニちゃんの言うとおり、葛飾北斎(かつしかほくさい)は
様々な富士山のある風景を描いた「富嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)」で有名な浮世絵師。
浮世絵というと、版画がイメージできるよね。北斎さんは版下絵(はんしたえ:版画の下書きとなる絵
のこと)を描いたのはもちろんだけど、この鯉亀図のように直接紙や絹に描いて色をつけたものも
たくさん描いているんだ」

「なるほどだピョン。でもこの絵、鯉と亀がすごくリアルに描かれているピョンね~。
とても立体的だし、なんだか表情に愛嬌(あいきょう)があってかわいいピョン」

「みんな、よく見て。鯉と亀はどこにいる?」

「あっ!水の中オニ!このくねくねした線はゆらゆら揺れる水をあらわしているオニね」

「それに、この青っぽい緑色のものは水草ピョンね!水中にぼんやり浮かび上がっているみたい!」

「そう。もう一個注目してほしいのは、揺れる水の線と、水中の水草が、鯉と亀の体の奥に
見えたり手前に透けて重なったりしているよね。立体的な鯉と亀の姿と相まって、絵画全体に立体感を
与えているんだ!」

「すご~い!」

「線と面だけで水中を自由自在に泳いでいる姿を表現している、すばらしい画力!」

「センと、メン…?」

「おっと、ごめんごめんピョン。オニちゃんにはむつかしい言い方だったピョンね」

「要するに絵がうまいってことだね」

「ウサちゃん、またオニちゃんバカにした!」

「この鯉亀図、実物はたいへん、たいへんに素晴らしいです。自然な描線と彩色で
生き生きとした鯉と亀を描いています。ぜひ展示室で実際にこの美しさをご覧いただければと思います」

「テンちゃん、鯉亀図は何とくらべるオニ?」

「ふっふっふ…よくぞ聞いてくれました」


「くらべるのはこの、青磁双魚文皿(当館蔵)!!!」

「なにオニ?これ!」「テンちゃんそろそろスペースが足りないピョン」

「えっ…」

後編に続きます。

(平成29年6月17日 展示担当 摩利子天)

特別展「上杉家の名刀と三十五腰」

スタッフブログをご覧いただき、ありがとうございます。
今回のブログでは、秋の特別展「上杉家の名刀と三十五腰」をご紹介します。


梅雨もまだなのに秋の展示の紹介なんて、気が早くないか、ですって?

いやいや、そのようなことは決してございません!

短刀者、もとい担当者は多くの方にお伝えしたくてうずうずしています。


さて、日本史上で最も有名な戦国武将の一人である上杉謙信や、

その養子景勝は、刀剣に高い関心を寄せていました。

また天皇や将軍、名だたる戦国大名との交流の中で、

刀剣が贈答品となることもありました。

そのようなこともあり、上杉家では多くの名刀を所持し、歴代藩主によって大切に
受け継がれてきました。

そして現代もなお、上杉家の名刀は守り伝えられているのです。


「埼玉で展示されるの?」というお問い合わせの多い、

沢市上杉博物館所蔵の「太刀 銘 一」(重要文化財、号姫鶴一文字)や、

「短刀 吉光」(号五虎退)のほか、

「太刀 弘□」(重要文化財、東京国立博物館蔵)や

「太刀 来国俊 元亨元年十二月 日」(刀剣博物館蔵)などなど、

上杉家に伝来した多くの名刀が一堂に会する予定です。

そしてこの展覧会、米沢市上杉博物館
(山形県米沢市)、公益財団法人佐野美術館(静岡県三島市)との
連携で行います。

3館のそれぞれの個性を活かした、特色ある展示となるよう、鋭意準備中です!


当ブログや
Twitterなどで、展示予定情報や準備の様子をお伝えしてまいります。

どうぞお楽しみに~。


(平成29年5月26日 展示担当 「上杉家
の名刀と三十五腰」展担当
その1)


「上杉家の名刀と三十五腰」展

【米沢市上杉博物館】

会期:平成29年9月23日(祝日・金)~10月22日(日)

   会期中無休

【埼玉県立歴史と民俗の博物館】

会期:平成29年11月3日(祝日・金)~12月10日(日)

   月曜休館

【佐野美術館】

会期:平成30年1月7日(日)~2月18日(日)

   木曜休館

展示担当1年生 ~4月 はじめての展示替え~

みなさま、はじめまして!

今年度から展示担当になりました八海山と申します。

今回は、4月・5月に行った展示担当1年生による「はじめて体験」について
書きたいと思います。

ちなみにブログを書くのも今回が初めてです。

~はじめての展示替え~

4月24日(月)休館日

常設展 第5室 室町~戦国時代「中世のくらしと文化」のコーナーの展示替え補助を
させて頂きました!


展示替えをするケースから資料を撤収した後、展示台に粘着カーペット
クリーナー(通称:コロコロ)をかけているところ。


展示台の位置を新たな展示に合わせ調整し、いよいよ展示資料を運び込みます。

運び込んだ資料の配置等を調整していきます。

お客様の導線や資料の見え方等を確認しながら、資料を配置していきます。

改めて博物館の展示は、様々な観点から考え、作り上げていくものだと実感しました。


今回の展示替えでは、特に新たに展示した腹巻と兜についての取扱いの理解を深めることが
できました。
そうして、出来上がった展示がコチラ!

はじめての展示替え 出来上がりを見た時の感動も一入…

こちらの資料は、現在も展示中です。ぜひみなさまにご覧いただきたいと思います。

長くなってしまいましたので、5月編はまた次回!
次回は、「展示担当1年生 ~5月 はじめての弥生時代復元住居見学会~」です。

(平成29年5月26日 展示担当 八海山)

企画展「くらべる古美術」関連ブログ 第1回「くらべる3人衆、見参!」

木々の緑がまぶしい今日この頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

企画展「縄文の空間」は大盛況のうちに幕を閉じましたが、その余韻に浸る間も無く
担当者は次の企画展「くらべる古美術」の準備にてんてこ舞いです!

というわけでこの夏、当館では美術品をくらべて楽しむ企画展「くらべる古美術」を開催します。

当館きっての名品はもちろん、今まであまり展示する機会のなかった秘蔵っ子たちがこの夏
あなたの目の前に…!


コビジュツ…?なにそれ?という方もご安心ください。本展はそんな方のための展覧会です。

「キレイ」「カワイイ」「これほしい!」そんな風に感じながら楽しくご覧いただけるよう、現在鋭意
準備中です。


今回の企画展では、みなさんと一緒に美術のひみつを探るため、太平記絵
(
)から
3体の案内人(?)
が飛び出してきてくれました

ご紹介しましょう、彼らは太平記絵巻巻第二の高時天狗舞(たかときてんぐまい)の段、
鎌倉幕府最後の執権北条高時と共に田楽(でんがく)を舞ったという異類の者。

オニちゃん、ウサちゃん、テンちゃん!

  
特技はもちろんダンス!

「みなさん初めまして!烏天狗のテンちゃんです。僕たち『くらべる3人衆』は、
企画展『くらべる古美術』のために生まれた当館オリジナルキャラクターです。これからしばらく
よろしくお願いしますね」

「早速展覧会の情報を確認するオニ!
企画展『くらべる古美術―見て考える美術のひみつ―』は715日から831日まで開催オニ!
まさにこの頃はみんな大好き夏休みオニね。涼しい博物館で思いっきり古美術を楽しんでほし
いんだ!そもそも古美術って何オニ?むずかしくて漢字が読めないオニ。」

「まったく、オニちゃんは僕らが登場する『太平記絵巻』の字も読めないからなあ。
古美術は、コビジュツ!一言で言えば、江戸時代以前の美術のことを指すんだよ。

企画展『くらべる古美術』は、当館のたくさんの収蔵品の中から、選りすぐりの美術品をわかりやすく、
そして楽しく紹介する展覧会なんだ」

こんにちピョン。『くらべる3人衆』カワイイ担当のウサちゃんでピョン。
今日はご挨拶がわりに企画展の展示資料をひとつ紹介しますピョン

こちらは私たちが登場する『太平記絵巻』(当館蔵)ですピョン!『太平記』という壮大な軍記物語を
絵巻にしたもので、埼玉県の指定文化財にもなっているんだピョン」

太平記絵巻 巻第一(県指定文化財・当館蔵)

「すごいオニ!」

「僕たち登場するシーンはなが〜い太平記絵巻の中でもほんの一場面。
それは絵巻の第2巻、鎌倉幕府最後の執権北条高時さんがご乱心のあまり異類の者と
ダンスを踊るシーンです」

太平記絵巻 巻第二(県指定文化財・当館蔵)

「みてみて。私たちがいるでピョン?
前期(715日〜86)に展示予定ですピョン!もちろん、ちゃんとくらべる美術品もご用意してますピョン。
実は、『融通念仏縁起絵』という物語絵にオニちゃんの双子のお兄さん!?が出てきます!…ピョン」
      
太平記絵巻 巻第二(部分)   復刻版融通念仏縁起絵(当館蔵)

「ウサちゃん、いま語尾にピョンをつけるのを忘れそうになったオニね…」

「実は太平記絵巻には、他の絵画から拝借したそっくりなモチーフが描かれて
いるのを見つけられます。よく似たものが描かれているのをくらべることは、美術を楽しむ
ひみつの一つなんだ!」

「夏休みは私たちと一緒に美術のひみつを探しにいきましょうね!」

「ウサちゃん!語尾語尾!」

「しまったピョン」

こんな風に、つたないながらもこの3人組が企画展のご紹介をして参ります。

みなさまどうか暖かく見守っていてくださいませ。

(平成29年5月25日 展示担当 摩利子天)

美術展示室「いきもの図鑑」

みなさま、こんにちは。

美術展示室では「経典の美」が終了し、516日より611日まで「いきもの図鑑」の展示を
しております。

実はこの展示、埼玉県立近代美術館で開催している
「ロシア科学アカデミー図書館所蔵 川原慶賀の植物図譜」(
521日まで)
の展覧会に、勝手に
!!便乗した内容になっております。

というのも、川原慶賀が活躍した江戸時代に描かれた花鳥画や博物図譜も展示しており、
埼玉県立近代美術館と合わせてご覧いただければ、より一層当時の動向をイメージできる
内容になっております。きっと。。



医師であり本草家でもあった栗本丹洲(17561834)がまとめた「皇和魚譜」(版本)には、
サンショウウオとその幼生が描かれています。なんともかわいい幼生ですね



上記の他に、文人画の谷文晁や渡辺崋山、木挽町狩野家の狩野雅信の花鳥画も
展示しておりますので、ぜひ、ご覧ください。

(平成29年5月19日 展示担当 アビーロード渡りたいU

「#学芸員のおしごと」を助けてくれるみなさん~監視員編~

みなさま、こんにちは。展示担当のsugar  です。


回で第4
回となります、博物館の強力な助っ人をご紹介するシリー

「『#学芸員のおしごと』を助けてくれるみなさん」。

今回は、監視員さんをご紹介します。

さてさて、博物館・美術館の展示室の一角で、静かに来館者を見守る職員。

皆さんもご覧になる機会があると思います。それが監視員さんです。

当館の展示室にも監視員さんの姿が。

監視員には、ただ展示室内を「監視」するばかりでなく、

様々な役目があります。


お困りのお客様はいないか、優しいまなざしで目配りしたり。


展示ケースを拭いたり。

環境保全のために展示室内では飲食は一切できないので

給水スポットをご紹介したり(画像はイメージです)。

展示室の防虫対策をしたり(画像はイメージです)。

そのほか、来館者の方々からのご質問を学芸員に取り次いだりと、

まさに八面六臂の大活躍!

ご来館の折にお困りのことやご質問などがあれば、

優しい監視員さんにお声がけください。


次回はどんな助っ人をご紹介いたしましょう。

乞うご期待!!!

(平成29年5月25日 展示担当 Sugar  )

「田んぼ」調査中!

企画展「田んぼ―埼玉、人と水の風景―」(来年316日~56日開催予定)に向け、
担当学芸員はせっせと準備を進めています。

何しろ、田んぼは一年仕事。慌てて資料を集めるようでは遅いのです。

今日は、展示に向けた資料調査の一場面を御紹介します。

博物館が行う資料調査、といっても、難しい古文書を読んだり土器を調べたりする
ばかりではありません。

「田んぼ」展では、稲作水田の一年を展示するために、丸ヶ崎(さいたま市)の農家さんに
御協力いただき、田起こしから収穫までを調査しています。


代掻き(427日)



田植え(52日)

ときどき、実際に農作業を体験させていただくのですが、これがまた難しい。

下の写真は、機械で田植えできなかった場所を手で植える「補植」の場面です。

苗の持ち方や植え方を教わりましたが、農家さんのスピードや身のこなしにはかなわず……。


機械化された農業、といっても、人の手や知恵が必要な部分はたくさんあるようです。

歴民には、埼玉県の農具1,640点から成る「北武蔵の農具」という国指定重要有形民俗文化財が
所蔵されているのですが、人力・畜力が中心だったころの稲作と併せて、田んぼで活きる技術と
知恵をたくさん発見していきたいと思います。

「田んぼ」展調査の様子は、スタッフブログにてこれからもお伝えしていきます!

 

(平成29年5月19日 展示担当 Fly!)
「#学芸員のおしごと」を助けてくれるみなさん~美術品輸送編~

みなさま、こんにちは。展示担当のsugar  です。

今回で第3回となります、博物館の強力な助っ人をご紹介するシリーズ
「『#学芸員のおしごと』を助けてくれるみなさん」。

今回は、美術品輸送の専門スタッフさんをご紹介します。

博物館の活動の主な柱の1つである展示。

学芸員がこれを行うのは当然のことですが、企画展・特別展といった大規模な展示となると、
助っ人の力が必要です。

そこで頼りになるのが、美術品輸送の専門スタッフさん。

博物館では、館蔵品以外の文化財を他の博物館や美術館からお借りすることもしばしばです。

そこで、運送会社の美術部門のスタッフさんに、貴重な文化財を輸送してもらいます。

さらにスタッフさんは、展示作業もお手伝いしてくれる、ありがたい存在!

文化財の取扱いも、小さなものから大きなものまで、オールマイティに対応してくださいます。

7日(日)に終了した企画展「縄文の空間」の撤収でも大活躍!

大きな文化財も

※大きな土器を、ていねいに梱包しているところ

 

大きな梱包材も

 

※大きな仏像の梱包材をかたづけている(中身はカラです)

 

スタッフさんに、安心しておまかせです!

シリーズ「『#学芸員のおしごと』を助けてくれるみなさん」。

次回は、展示室の監視員さん編です。

(平成29年5月16日 展示担当 Sugar  )

 

 

 

 

 

 

大好評顔ハメ中!
世界盆栽大会で例年よりも大賑わいの大宮公園からこんにちは!

当館ではゴールデンウィーク期間、様々なイベントをご用意して皆さまを
お待ちしています。

常設展示室内では、「武士のことを知ろう」、「節供人形を知ろう」、「お殿様のくらし」と
題した特集展示を行っています。

そんな特集に合わせて、当館オリジナル顔出しパネルがついに完成しました!

ジャーン!(担当者は自他ともに認めるシャイガールなので、目線を入れています(笑))

この顔出しパネルは「土佐光月筆 一の谷合戦図」(当館蔵)のうち一幅、かの有名な
源義経公を描いた牟礼高松図を使用しています。

土佐光月筆 一の谷合戦図のうち牟礼高松図(当館蔵)

ちなみにこちら、夏の企画展「くらべる古美術」で本物を展示予定です。

なお、美術展示室第4室では、世界盆栽大会や大盆栽まつりに合わせて、土佐光清筆の
同じ画題の掛け軸を展示していますので、併せてお楽しみください。

そんなこんなで、今回完成した顔出しパネルは5月7日(日)まで、当館エントランスホールに
お出ししています。
※顔出しパネルのキャプションもご覧ください。

ゴールデンウィークは、博物館で武士になろう!

(平成29年5月2日 展示担当 摩利子天)
特集展示「お殿様のくらし」をはじめました

 

最近知人からブログ更新をさぼっているとお叱りを頂きました。ブログを読み返すと平成28年7月5日に投稿したきりでした・・・。

 
ということで、本年度は心を入れ替え?毎月の展示替えや、展覧会の調査情報など更新していきたいと思います。


さて、現在当館の常設展示室では、世界盆栽大会にあわせて、「武士のことを知ろう」との共通テーマで展示をおこなっています。


その一環として常設展示室第7
室では、特集展示「お殿様のくらし」をはじめました。 


今回は、当館に収蔵している大名家・旗本関係資料の中から、主にお殿様の生活が伺える生活用品を展示しています。 

お殿様が着用した裃や、武家の女性の道具など、普段はなかなか展示できない資料を中心にセレクトしました。

 

 

  展示風景

 
 某学芸員さんから「これが展示されるとは…」との感想をいただいた御所人形です。

 武士ということで、もちろん甲冑と刀剣も展示しています。今回は次の3点です。

 ・川越藩主 松平康英所用 「本小札紺糸毛引威胴丸具足」(川越市光西寺蔵)

 ・岩槻藩主 大岡忠光所用 「刀 伝助真」(重要文化財、さいたま市龍門寺蔵)

 ・岡部藩主 安部家伝来  「脇差 銘安吉」(当館蔵)

 

 「宗教」と「文化」のコーナーも甲冑・刀剣に様変わり

 常設展示室第7室「お殿様のくらし」は、6月11日(日)まで開催しています。 

 世界盆栽大会に足をお運びの際は、ぜひ当館にもお立ち寄りください。 

 

 (平成29年4月29日 展示担当 n)

経典の美 ~こんな友人がほしい編~

も咲き、大宮公園にはお花見をする人で賑わっています。

さて、現在、博物館の常設展示室4美術展示室では「経典の美」と題し、埼玉県に関連する
さまざまな経典を展示しています。国宝慈光寺経も
展示中です!!

回、特に紹介したい経典は、加須市の徳性寺が所蔵する「法華経」(加須市指定文化財。
以下、徳性寺本)です。
寺外初公開となる法華経で、紺紙に金泥で経文を書写した紺紙金字経です。見返しには、
法華経の内容を図様化した経意絵が
金銀泥で描かれています

この徳性寺本のうち、現在、巻第三と巻第四を展示しています(~4/16まで)。


さて、この徳性寺本の見返絵ですが、実にうらやましい場面があります!

巻第四に描かれた、↓の絵。

 

この絵は「衣裏繋珠(えりけいじゅ)」といわれる法華経に説かれた、7つの代表的な喩話の1つで、
五百弟子受記品に書かれています。
描かれた場面は、ある貧しい男が、裕福な旧友の邸宅で酔いつぶれ寝てしまった時、外出しなければ
ならない友人は貴重な宝石を男の衣服の内側に縫い付けて、去っていったという場面です。


なんと、なんと!

寝ていれば、衣服の内側に宝石が縫い付けられる!!

こんなできた「友人」がこの世にいるのでしょうか!!!

羨ましい話ではありませんか!!!!

私も、大宮公園の桜の下で寝てみようと思います。

我こそは!という方は、宝石を縫い付けに来てくださいね。


ちなみに、この図様は異時同図法を用い、「宝石を縫い付ける友人」と「家を去る友人」を同一の場面に
描いています。見返しには、他にもいろいろな経意が描かれております。
ぜひ、この機会に貴重な法華経をご覧ください。

(平成29年4月9日 展示担当 テムズ河のほとりで書きました(笑))